姿勢が変われば人生が変わる!

R-Ambition代表、古藤隆治のブログです。姿勢がスポーツ与える影響、改善する事でどんな効果を発揮するのか、トレーニングに対する考え方など実際の現場で役立つ情報を色々な角度から発信していきます。

【目指せ140キロ】球が速い選手と速くない選手の違いは何?

ピッチャーであれば誰もが一度は意識するであろう『140km/h』

見る側としても、やっぱり球が速いピッチャーはカッコいい。今回は球速が速い選手と速くない選手の差はどこで生まれるのか?について。

 

最も単純に答えを出すと、リリースの瞬間にボールに力が伝わっているか否か。どれだけ筋力を向上しても、柔軟性を高めても、最後の瞬間にボールに力が伝わらなければ速い球を投げることは出来ません。

ピッチャーのフォームを大きく分けると、並進運動回転運動の2つに分かれます。並進運動は足を上げてからステップをきるまで。回転運動はステップからリリースまで。この2つの運動の精度をどれだけ高く出来るか、いかにうまく並進運動から回転運動に移すかが球速アップのカギとなります。では具体的にどうするのか?各項目に分けて解説していきます。

 

並進運動

足を高く上げる

難しく書くと位置エネルギーだなんだと言葉が出てきますが、要するに同じ重さ(体重)のものを地面に向かって落とす時、低いところから落とした時と高いところから落とした時はどちらが大きな衝撃を生むか。要するに加速です。この時に重要になるのがバランスを保ったままで足を高く上げられる事。

右ピッチャーの場合左足を上げますが、腹筋や太腿の前側の筋肉を使って足を引き上げてしまうと、上半身のバランスが崩れ、インステップやリリースの時に体重がうまく伝わらない原因になります。バランスを崩さずに足を上げる為には、右足の踵を少し上げ、下ろす反動で左足を上げる事。

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 基準はベルトの線よりも膝が上に来る事。左足の太腿の裏側の柔軟性が不足すると上がりにくくなります

 

上の写真のように身体のバランスを崩すことなく膝を十分な高さまで持ってくる事が出来るようになれば、並進運動の時にバランスを崩しづらくなります。

トップを作る

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 トップとは、投げる為の準備の状態です。これが抜けてしまうと、ボールが高めに浮いてしまったり、ボールがシュート回転してしまったり、コントロールが安定しない原因になります。球速を上げる為に絶対に必要なしっかりと叩くという動作もしづらくなる為非常に重要な段階と言えます。

両肩をつないだ線よりも前で腕を上げる

トップを作る事が苦手な選手の多くがテークバックを後ろに引きすぎている事。両腕を真横に開くと180度になりますが、それよりも後ろ側から手を上げようとすると引っかかって上がらない。胸郭と肩甲骨の動きがいい選手は多少後ろ側からでも上げる事は出来ますが、少しでもテークバックが大きくなると肩への負担が大きくなり、ケガの原因になる為オススメは出来ません。

肘の高さの基準は両肩をつないだ線よりも上にある事。低くなると回転運動の時に肘の絞りを上手く作る事が出来なくなり、肘の内側を痛める原因につながります。逆に今肘の内側に違和感や痛みを関している選手は、トップの位置を見直す事で改善する事が出来るでしょう。

上げる→出る→叩く

あくまでイメージの話になりますが、トップを作るタイミングは出来るだけ早い段階が理想です。体重を移動しながらトップを作ろうとすると、十分にトップを作る事が出来ないまま回転運動に移ってしまう事になりがいだからです。先ずは(肘を)上げる、(前に)出る、(背中を使って)叩くという順番を身体にしっかりと刻み込む事から始めましょう。

くの字を作る

足を上げてからステップに移る際、右ピッチャーを三塁側から見ると、頭・骨盤・軸足の位置関係がくの字を描くように意識しましょう。この時肩の高さは右肩が下、左肩が上に傾きます。

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肩だけを落とすのではなく両肩と骨盤の左右を線でつないだ長方形がそのまま傾くイメージ

ステップを切った際は地面と平行である事

くの字を意識する事で起こりやすくなるのが前脚が着地した時点で骨盤の前側が高くなってしまう事。そうなる事で発射台の角度が上に向いてしまい球が高めに浮きやすくなります。またそれを改善しようとして上半身を追って投げたり、肘を引き下ろしてしまって肘の裏側を痛めたり上腕二頭筋(力こぶの筋肉)に張りが出たりします。

遠心力を使う

バッティングの時に遠心力を利用するイメージは強いと思いますが、当然ピッチングにも遠心力は重要です。

バッティング(右打ち)の場合左手でグリップを止めて右手で走らせます。この時左手がしっかり止まらず前に流れてしまうと、ヘッドを走らせる事が出来ずに打球に威力が出なくなります。ピッチングも同様で、並進運動で移動してきた勢いを前足でストップをかける事で回転運動に繋げ、上半身が一気に加速します。

 

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前足の踵の垂直線上よりも膝蓋骨(膝の皿)が前に行ってしまうとブレーキが利きづらくなってしまうので注意

 

 回転運動

最も重要なのは、重心の移動で得たパワーをいかに失速させる事無く回転するか。

便宜上並進運動と回転運動を分けてありますが、本来連動した一つの動きの中で行われるため、あえて別々と捉えるとぎこちなくなるので注意が必要です。

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回転運動を上手く行う上で重要なのが回転軸。上半身を折ってお辞儀の形になってしまうと回転のスピードは落ちてしまい、上手く腕が出てこなくなり、腕の振りが弱くなってしまいます。

前足にぶつかる強さ=球速

球速を上げるうえで最も重要と言っても過言ではないのが【いかに速く骨盤を前傾させるか】です。と言ってもタイミングが非常に重要。例えば足を上げてからステップをきるまでの時点で骨盤が前傾してしまっていては、上半身を折る事でしか反動をつける事が出来ません。それどころか腰痛を発症する原因にもなりかねません。骨盤が前傾するタイミングは軸足から前足に乗った時。つまり並進運動から回転運動につながる所。

ポイントは前足が着地した時点では骨盤が少し回転を始めている事。完全に閉じた状態でステップしてしまうと、着地の衝撃を回転力に変える事が出来ません。予め少し開き始めた所にブレーキがかかる事で利き腕側の骨盤が一気に加速してスムーズに回転する事が出来ます。

この時前足の膝の角度は135°のイメージ。それ以下になると足への負担が大きくなり、前足の膝が前に流れやすくなり上手くブレーキをかける事が難しくなります。また上半身の力で無理やり捻って投げる事になり、身体の開きが早くなってしまったり利き腕側のバッターの顔付近に向かって抜けるボールが多くなってしまい、それを防ぐためにリリースで調整してしまって結果として反対側に引っかかったような球が増えたりします。

穴の深さ=踏み込みの強さ

前足を出した時(ステップをきった時)、軸足から前足に向けてぶつけたパワーが強ければ強いほど、前足の下の穴は深く掘れる傾向にあります。意識して深く掘れるように前足を使うのではなく、上手く前足にぶつける事が出来ると自然と穴が深く掘れるようになってきます。

グラブの使い方を意識

グラブは回転を行う上で非常に重要な支点の役割を果たします。ポイントはグラブを引かない事。よくある指導で「体に巻き付けるように引け」とか「引いて肩を入れ替えろ」などと言われますが、引いてしまうとある2つのデメリットが生じます。それは重心が移動せずその場での回転になってしまう事と支点が無くなり体軸がぶれてしまう事。

その場回転になると、折角軸足から並進運動と繋いできた勢いを消してしまいます。例えばフィギュアスケートのジャンプのように、回転力が欲しい場合は正中線を軸として回転する事で身体のブレを無くして回転力を高めています。ピッチングの目的はリリースの瞬間に向けて効率よく力を伝える事。回転は手段であり目的ではありません。 

まとめ

 長々と書いてきましたが、要するに大切なのは軸足の親指が起点となって起こした波を上手くリリースの瞬間の指先に伝える事が出来るか。その間にいかにロスを減らせるかがカギとなります。その為には当然筋力も柔軟性も必要になる。

筋トレや柔軟がおろそかになる選手の多くは、その必要性を理解していないか実感していないから。焦らずじっくり仕組みを理解していけば、何をすべきかが見えてくると思います。

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