姿勢が変われば人生が変わる!

R-Ambition代表、古藤隆治のブログです。姿勢がスポーツ与える影響、改善する事でどんな効果を発揮するのか、トレーニングに対する考え方など実際の現場で役立つ情報を色々な角度から発信していきます。

肩のケガを予防する!肩甲骨周辺のトレーニング【腕立て・飛行機・エール】

 

肩や肘のケガは野球にはつきものと考えられていますが、そもそも肩関節を使うから痛める。肘の関節も無理のない角度で使えばそうそう痛むものでは無いにも関わらず、トップが作れず肘の絞りを上手く作る事が出来ずに投げる事で余計な負荷がかかり痛めてしまう。

ピッチャーにとって投げられない期間というのは非常にもどかしいもの。復帰後も焦りを生んでしまい、結果として現役の間に再起出来ないケースも多く存在します。また近年では肘の手術の若年化も問題視され、高校野球にも球数制限が導入されようとしていますが、そもそも正しい体の使い方を覚えるべきではないのか?という視点から3種類のトレーニングを紐解いていきます。

 

腕立て (50回)

  1. 両手を肩幅に開き(前に習えの幅)中指を平行に置く。
  2. 上腕骨を外旋させる。(肘の内側が正面を向く)
  3. 頭から踵までを一直線に。ポイントは踵をしっかりと蹴り出す事
  4. まっすぐ降りて(鼻が地面に向いている事)まっすぐ上がる(両脇をこする)

腕立てで気を付けるポイント

特に注意すべき点は3番の頭から踵までが一直線である事。股関節を外旋させて尻を締める事で腸腰筋を機能させて一直線をキープします。腸腰筋が弱ければ骨盤が落ち込んでしまい、反り腰の状態に。それを防ぐために胸を潰してしまうと背筋が抜けてしまうためこれもNG。

4番で両脇をこする程肘を絞って行う理由は胸ではなく上腕三頭筋をしっかり使うため。ですが背中を一直線にキープする事で腕だけでなく、脊柱起立筋や下半身の尻を締める筋肉なども使えます。

腕立てで鍛えられる場所

上腕三頭筋・腹筋・背筋・腸腰筋・握力など

 

飛行機 (前後各300回)

  1. 両足を乳頭線の幅に置いて立つ*1
  2. 両腕を肩の高さで水平に開いた状態から約20cm上の20cm前に移動する
  3. 肩甲骨を下方回旋*2させ、上腕骨を外旋させる。掌は下向き
  4. 鎖骨を中心に直径直径20cmの円を描く

飛行機で気を付けるポイント

非常に重要なのが直径20cmの円を描く事。胸鎖関節を中心に肩甲骨と上腕骨が連動すれば、勝手に円の直径は大きくなります。逆に手先や肘で円を描くと直径が小さくなります。また肘をしっかりと伸ばしておくことが重要*3です。少しでも曲がった状態で行うと、肘に常に煽りの負荷がかかるため肘を痛める危険性があります。

肩甲骨の下方回旋と上腕骨の外旋の形が崩れると、僧帽筋にストレスがかかります。僧帽筋が発達すると肘を上げる際などに邪魔してしまう恐れがあるため注意が必要です。

最も大きなポイントはどこを中心として回転させるか。通常腕を回すとなると肩関節を中心に上腕骨(二の腕の骨)が回転します。飛行機の場合は鎖骨・肩甲骨・上腕骨をセットにして動かすため、中心となるのは胸骨と鎖骨の結合部にあたる【胸鎖関節】になります。肩の関節を使った飛行機はインナーマッスルに過度の負担を与える事になり、ケガのリスクが生じる為注意しましょう。

飛行機で鍛えられる場所

 三角筋・広背筋・ローテーターカフ*4など

エール (400回)

  1. 両足を乳頭線の幅に置いて立つ*5
  2. 両腕をバンザイの形に(垂直に天井を指さす)
  3. 前に水平になる所まで下ろす(前に習えの位置)
  4. 2の形に戻る
  5. 横に水平になる所まで下ろす(横に習えの形)
  6. 2の形に戻る
  7. 2~6を繰り返す

エールで気を付けるポイント

上腕骨のみを動かすイメージではなく、肩甲骨とセットで動くことが重要です。支点になるのは胸鎖関節。また下ろす動作(3・5番)よりも戻る動作(4・6番)を早く行う事も必要。背中のばねを意識して行いましょう。

肘の絞りの基礎となる動きに注目

このトレーニングの最大の目的はピッチングにおいて不可欠な肘の絞りを作る事。特に意識しやすいのが5の両腕を真横に水平に伸ばした状態から6のバンザイに戻すタイミング。肩甲骨の意識は常に外転。この時に肩甲骨と上腕骨が連動していれば、勝手に腕は外旋され肘が絞られた形が出来上がります。

またこのタイミングで特に意識してもらいたいのが前鋸筋。肩甲骨の外転に必要な筋肉で、前鋸筋がしっかりと働いていれば、肘の絞りは成立しやすくなります。そうする事で投げる際の肘の方向がしっかりとキャッチャー方向を向く事が出来るようになり、強くたたく事が出来ます。またよくある肘のケガ(内側側副靭帯損傷など)の予防にも繋がります。

エールで鍛えられる筋肉

三角筋・菱形筋・前鋸筋・小胸筋など

上肢だけじゃない!意識次第で様々な効果

 腕立てに関しては腹筋や背筋など全身を鍛える事が出来ると書きましたが、飛行機とエールに関しても意識次第で体幹部の筋肉を鍛える事が出来ます。腕を動かすのは鎖骨・肩甲骨・上腕骨の連動と書いてきましたが、これらを動かす際に必ず体に“煽り”が入ります。

この煽りによる振動を脊柱起立筋・腹筋・背筋を意識する事で安定させる事が出来ます。そうする事で安定性(スタビライゼーション)を高める事が出来、肩回りだけでなく全身のインナーマッスルを鍛える事につながります。

まとめ

以上で腕立て・飛行機・エールの重要性は伝わったでしょうか。

飛行機とエールの合計は丁度1000回。1日にボールを1000球投げる事は出来なくても、1000回肩回りの筋肉を強化するは出来る。 しかもアウターだけでは必ず持たなくなる数を積み重ねる為、必然的にインナーにもしっかりとした刺激が行く。

ケガの予防だけでなく、コントロールを安定させる為にも必要“肘の絞り”の練習にも取り組む事が出来る非常に重要なトレーニングです。毎日欠かさず行い、防げるケガを未然に防ぐ努力を行ってください。

*1:股関節の外旋を忘れずに

*2:背骨に向かって斜め下に寄る事

*3:ここに先に腕立てで上腕三頭筋にしっかりと負荷をかけていた理由があります。

*4:棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋※腱板と言われる所

*5:股関節の外旋を忘れずに

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